ドイツ東部の美しい古都、ドレスデン。今回は、この街で開催された「World Transplant Games 2025(世界移植者スポーツ大会)」に、一人の応援者として飛び込んできました。WTG2025のページはこちら。
選手たちが魅せてくれた激闘、国境や言葉の壁を越えた選手たちの温かい交流、そして「エルベ川のフィレンツェ」と称される美しい街並みなど、現地で目にした光景と、実際に遠征してみて分かったリアルな学びを、余すことなくお伝えします。大会観戦記であると同時に、これからドイツ遠征や海外のスポーツイベント観戦を考えている方に向けた、実用的なアクセス・通信ガイドにもなっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「メダルより尊いもの」 World Transplant Gamesとは

World Transplant Games(WTG)は、臓器移植を受けた方々がスポーツを通じて生命の尊さと、ドナー(臓器提供者)への深い感謝を分かち合う、世界規模のスポーツ大会です。今回のドレスデン大会には51か国から2,500人以上が集い、陸上競技、バドミントン、バレー、水泳、卓球など17競技が行われました。
会場に一歩足を踏み入れると、そこには国境や言葉の壁を越えた、他では味わえない温かい空気が流れていました。参加者たちは皆「メダルを獲ること」以上に、「今、ここで元気に体を動かせている」という奇跡そのものを喜び合っている、そんな印象を強く受けました。
- 競技を終えるたびに、勝敗に関わらず互いの健闘を讃え合いハグを交わす
- ドナーへの感謝を、選手自身の言葉や表情から自然に感じ取れる
- 「移植医療がもたらす希望」を、世界に向けて力強く発信している
スポーツを通じて命を祝福し合うこの大会の熱気は、一生忘れることのない特別な体験となりました。
前日、体育館で始まった国境なき交流
私がドレスデンに到着したのは、バドミントン競技の前日でした。空港から直接、翌日試合が行われる体育館へ向かうと、ちょうど各国の選手たちが練習をしている真っ最中。実は今回、急な決定で渡航が決まったこともあり、そもそも選手の練習に混ぜてもらえるものなのかもわからず、正直なところ自分のラケットを持っていくかどうかも迷ったまま、結局手ぶらで会場に向かったのです。

ところが会場に着いてみると、その心配は杞憂でした。「一緒にやろうよ」と、あっという間に練習の輪に入れてもらえたのです。私にラケットを気軽に貸してくれ、いろいろな国の選手と汗を流しながら交流することができました。国籍も言葉もバラバラなのに、スポーツで誰とでも打ち解けられる、そんな大会の懐の深さを、開幕前から肌で感じることができた出来事でした。
その後は旧市街を少し散策し、翌日に控えた本戦に備えて早めに休みました。
【感動】地元ドイツ選手との決勝、割れんばかりの拍手
翌日、いよいよ大会本番。私が応援していた知人は、男子シングルス35歳代の部で、予選から準決勝まで白熱した試合を勝ち上がっていきました。そして迎えた決勝の相手は、なんと地元ドイツの選手。
会場のボルテージは最高潮に達し、両国の応援がぶつかり合うような大歓声が響き渡りました。そして先輩が見事に優勝を決めた瞬間、観客席からは長く鳴りやまない、割れんばかりの拍手が送られたのです。相手のドイツ人選手も清々しい表情で健闘を讃え、勝った側も負けた側も関係なく、互いを認め合う空気が会場全体を包んでいました。この光景に、私自身も思わず胸が熱くなったのを今でも鮮明に覚えています。
翌日にはミックスダブルスも行われ、先輩ともう一人の日本人選手のペアは見事準優勝という結果に。こちらも最後まで目が離せない好ゲームで、勝ち負けを超えて称え合う選手たちの姿が非常に印象的でした。

コートを超えた絆 ピンバッジ交換と陸上競技場での声援
コートの外にも、心温まる光景がたくさんありました。空いているコートでは、トーナメントとは関係なく各国の選手同士が自由に打ち合う、ちょっとしたエキシビションのような時間も。そして印象的だったのが、選手たちがユニフォームやピンバッジを交換し合う文化です。自国から持ってきた小さなお土産を、初対面の選手や現地の子どもたちと交換し合う――まさに国境を越えた友情の証でした。
正直に言うと、私はこうした交換文化があることを知らずに手ぶらで参加してしまい、世界中の子どもたちから「交換して!」と声をかけてもらったのに、何も渡せるものがなかったのが少し心残りでした。次に参加するときは、日本らしい小さなアイテムを必ず持っていこうと心に決めています。もし皆さんもこうした大会に参加・観戦される予定があれば、ピンバッジやキーホルダーなど、かさばらない交換用アイテムを一つ用意しておくことを強くおすすめします。
ミックスダブルスの試合後には、時間があったので陸上競技場にも足を運びました。ちょうど砲丸投げや100mに日本代表選手が出場するタイミングで、フィールドでは別の種目も同時進行しており、一度に複数の熱戦を見届けることができました。メダル獲得の瞬間も間近で見ることができ、とても胸が熱くなりました。また、観客席では「どこから来たの?」「日本に住んでいたことがあるよ」といった会話が自然と生まれ、こうした偶然の交流もこの大会ならではの魅力だと感じました。

「エルベ川のフィレンツェ」 焼け跡から蘇った美しき古都ドレスデン
大会の合間には、ドレスデンの街歩きも楽しみました。エルベ川沿いに広がるバロック様式の美しい建築群は、その景観の素晴らしさから「エルベ川のフィレンツェ」と称されています。
ドレスデンは第二次世界大戦の激しい空襲で街の大部分を焼失した歴史を持つ街です。しかし戦後、市民たちの手によって旧市街は驚くほど精巧に復元され、今では中世さながらの石畳の街並みが広がっています。
- 旧市街散策:ツヴィンガー宮殿やフラウエン教会など、歴史と芸術の息吹を感じられるスポットが集中
- 本場グルメ:地元のカフェやレストランで伝統的なドイツ料理を堪能。大会会場では本場のウィンナーを挟んだホットドッグを頬張りながら、世界中の観客と交流する時間も
一度は失われた街並みが、これほどまでに美しく蘇っている――その事実を知った上で歩く旧市街は、ただの観光以上の重みを持って心に残ります。

日本からドレスデンへの行き方とドイツ鉄道(DB)移動術
ドレスデンには国際空港(DRS)がありますが、日本からの直行便はありません。フランクフルト(FRA)やベルリン(BER)を経由してドイツ国内線で移動するか、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn:DB)を利用してアクセスするのが一般的でスムーズです。ベルリンからは列車で1時間30分程度、フランクフルトからは高速鉄道ICEで5時間弱という鉄道旅も趣があります。お隣チェコのプラハから国際列車で入るルートもおすすめです。

ヨーロッパの鉄道移動に必須なのが、公式アプリ「DB Navigator」です。ヨーロッパの鉄道は遅延やホーム変更が日常茶飯事ですが、このアプリがあれば最新情報がプッシュ通知で届くため安心です。
- チケットのペーパーレス化:スマホのQRコードを見せるだけで検札が完了
- リアルタイム情報:遅延や乗り換えホームの変更を瞬時に把握でき、現在地からの最適ルートもすぐ検索可能
今回のように複数都市を周遊する遠征では、事前に鉄道パスやチケットをまとめて手配しておくと当日の移動がぐっと楽になります。旅程が固まっている方は、早めの予約サービスを活用するのも一つの手です。
快適な遠征に欠かせない通信環境 ahamo海外ローミング/eSIMについて
出先で「DB Navigator」や地図アプリをストレスなく使うために、通信環境の準備は絶対に欠かせません。特に今回のように予定を急遽変更しながら動く遠征では、その場ですぐ調べられるかどうかが旅の快適さを大きく左右します。
私は今回、事前設定不要で海外でもそのまま使えるahamo(アハモ)のローミングを利用しました。追加料金や事前手続きは不要、SIMの差し替えもすることなく、現地到着後すぐに使えたのは非常に快適でした。
どちらも旅行用に事前チャージ・設定しておけば、到着直後から地図・翻訳・鉄道アプリをフル活用できます。海外遠征を計画している方は、出発前に自分の使い方に合った方を選んでおくと安心です。
まとめ:ドレスデンの感動を胸に、次はベルギーへ
ドレスデンでのWorld Transplant Gamesは、命の輝きと温かい絆、そして美しい街並みが融合した、言葉では言い表せないほど素晴らしい経験でした。次回2027年7月は、ベルギー・ルーヴェンでの開催が正式に決定しています。会場では「命のバトン」がドレスデンからルーヴェンへと引き継がれる象徴的なセレモニーも行われたそうで、次はぜひその舞台も見に行きたいと思っています。
私はこの後、大会観戦を終えたその夜のうちに、自然豊かなスイス・ツェルマットへと電車で移動しました。雄大な山々とトレイルの様子は、次回の記事でご紹介します。
